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2018.05.18 Friday

『オーケストラ!』はちゃめちゃオーケストラが巻き起こす奇跡

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    本作は2009年公開のオーケストラをテーマに描いたフランス映画である。

     

    かつてはロシア・ボリショイ交響楽団で天才指揮者を勤めていたアンドレイだが

    ある事件以降、楽団の清掃員として働いている。本作はそのアンドレイが

    ボリショイ楽団宛に、パリにあるシャトレ座からFAXで来た公演依頼を盗み見たことから始まる。

     

    アンドレイはそのFAXを隠匿し、ボリショイ交響楽団に成りすましてシャトレ座で公演すること

    思いつき、かつての仲間であるサーシャに相談を持ちかける。

     

    なお、ある事件とは、楽団からユダヤ人を排斥しようとする共産党の動きがあり

    それに対してアンドレイは優秀な楽団員が失われることを危惧し、抗議の意味を込めて

    チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の公演を強行しようとする

     

    しかし、その時に当時楽団のマネージャーであった熱心な共産党員であるイワンは

    演奏中に割って入り、最高のハーモニーを途中で中断させてしまう

    その後、楽団員は散り散りになってしまい、皆の心に影を落とすことになった。

     

    アンドレイが楽団員を集めるために、イワンに相談を持ちかけるべきだ、と言ったが

    サーシャは「過去のことを忘れたのか!」と猛反対する。

    だが、アンドレイは彼は最高のマネージャーだ、と言って強引に相談に行く。

     

    サーシャとイワンは一触即発の状態で交渉は難航すると思われたが

    イワンは公演がパリで行われると聞き、なんと二つ返事でOKする

    裏があるのではないかと疑うアンドレイとサーシャだったが、イワンはそんなものはない、と言う。

     

    まずは、シャトレ座との交渉を済ませ、報酬等の条件と曲目をチャイコフスキーの

    ヴァイオリン協奏曲にすること等を先方に伝えることに成功した。

    そこからかつての仲間達を巡り、楽団員を集める道中が始まる。

     

    この場面では、現在は様々な職についている人々との再会が描かれるのだが

    アダルトビデオの吹き替えを監督している者がいたり、中には遊牧民として暮らしている者も

    いて、ヴァイオリンを器用に操りながら賑やかな音を奏でて部族みんなで踊り出す場面など、

    フランス映画らしくコミカルに描かれている。

     

    アンドレイはヴァイオリン協奏曲のソリストにパリ在住の一流女性ヴァイオリニスト

    アンヌ=マリー・ジャケを指名し、マリーは海外公演中の多忙な期間にも関わらず

    かつての一流指揮者であるアンドレイが指揮をすると聞き、どんな条件でも受けると伝えて欲しい

    と代理人であるギレーヌという女性に申しつける。

     

    そして、様々な困難を乗り越えた後にとうとうパリに辿り着くのだが、リハーサル当日には

    楽団員はみんなパリで自由を謳歌していて、会場にはほとんどの楽団員が現れず

    マリーは意気消沈してしまう。

     

    ここで楽団員達はそれぞれにパリで白タクをやってみたり、翻訳者として働いてみたり、ロシアから

    持ち込んだキャビアを飲食店に売り込もうとしたり、中国産の携帯電話を売り捌こうとしたり

    (税関をすり抜けるために楽団員全員に1つずつ持たせて持ち込んでいる)、様々な方法で

    金を稼ごうとしていて、商魂逞しいユダヤ人の気質をコミカルに描いている

     

    マリーはアンドレイを食事に誘い、何故自分をソリストに選んだのかを聞こうとする。

    アンドレイは、かつて自分の楽団にいた才能溢れるユダヤ人のヴァイオリニストであるレアという女性

    について話し始めるが、何か隠し事をしているようで歯切れが悪い。

     

    結局、核心には触れないまま、かつて起きた事件のこと、その時に最高の演奏を

    完成させられなかったことについて悔やんでいることを伝えるが、マリーは

    私はレアの代わりにはなれない」と言い、翌日の公演を中止するように進言してその場を去る。

     

    そもそもアンドレイは何を隠しているのだろうか。彼の持ち物の中にはマリーのCDが大量にあり

    それを見たサーシャは「まさかあの子なのか?此処には演奏をしに来たんだよな?」と言う。

    アンドレイとサーシャはマリーの代理人であるギレーヌとも面識があるようで、ギレーヌからも

    「彼女に何か話すつもりはないわよね?」と釘を刺される場面がある。

     

    そしてコンサート当日に、楽団員達は「レアのために戻ってこい」という携帯電話へのメッセージを見て

    滑り込みで全員が会場に勢揃いする。とうとう大観衆の前で演奏が始まるが、どこか調子外れで聴衆も

    顔を見合わせてしまう。

     

    しかし、最初のマリーのソロが始まると徐々に全員が一丸となって素晴らしい演奏へと昇華していく

    感動的な演奏の続くなか、アンドレイの独白が演奏に被せられ、マリーに関する衝撃の真実が明らかになる

    なおも演奏は続き、その途中で様々な映像が差し込まれる。

     

    アンドレイの交響楽団が好評につき、世界中で追加公演を決定したこと、

    ロンドン、ベルリン、北京、日本、シドニー等を周り、各地の新聞でその成功が伝えられた様子、

    アンドレイが家でマリーと親しげに話している様子などが代わる代わる映し出される。

     

    そうして、物語と共に演奏はクライマックスに向かっていき、至上の演奏が終了したとき

    観客席は総立ちで拍手を送り、壇上に花を投げ入れた。

    アンドレイの胸で涙を流すマリーの顔が映し出され、物語は幕を閉じる

     

    〜感想〜

     

    ロシアの交響楽団について描かれた映画ということだったが、随所の小ネタなどに

    フランス映画らしい部分を感じた。

     

    物語の本筋はシンプルだが、一捻りが加えられており、ストーリーも素晴らしいものと言えるだろう。

    特に最後のオーケストラによる演奏場面は圧巻である

     

    音楽モノの映画では最後に大団円の演奏シーンがあるのはお決まりと言っても良いが

    クラシックの場合は1曲が長く、曲のなかでもストーリーがあるため、どのように表現するのか

    気になっていたが(事実、最後の演奏シーンは12分に渡る)、演奏シーンに被せて物語の核心や

    後日談などを映像で表現するという演出は非常に秀逸と感じた

     

    映画全体で見ると、シリアスな部分もあるが、根底には明るさが常に感じられるようになっており

    鑑賞後には温かい気持ちになれるような、爽やかな感動を与えてくれる映画であった。

    2018.05.21 Monday

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